昨年度開講されました『ケネス・タナカの仏教教室Ⅲ』の講演録を出版しました。 本書は、2019(平成31/令和元)年2月から12月にかけて、浅草の浄土真宗・厳念寺を会場にして開催された仏教講座全八回の講義録をまとめたものです。副題としてケネス先生からの提案されたテーマ「ユーモアを通して学ぶ仏教とその実践」のとおり、ユーモアと笑いと工夫をたくさん取り入れながら、仏教のエッセンスを教えていただきました。
厳念寺の記念事業として2017(平成29)年から始まったこの講座は既に3期目に入りました。ケネス先生におかれましては、日本ばかりではなく、世界を股にかけた多くの仕事を抱えている中で、快く講座をお引き受けくださったことに改めて感謝申し上げます。
前年度の仏教講座が大変好評であったので、続けて実施することにした第3期の教室は、昨年度から引き続き受講される人も多く、参加者は更に増えて、昨年同様にリラックスした活き活きとして楽しい充実した学びと、軽食をとりながらの和やかな懇親・対話の集いになりました。
この講座の特徴は、50歳から60歳台を中心にして、幅広い年齢層の方々が参加されていること。また、クリスチャンの方々を含めていろいろな方面の方々が、ずいぶん遠方からも参加されていることです。そして質問の時間には、たくさんの活発な意見や問いが自然と生まれていることでしょう。これは、他の法話会・講座などでは希有なことではないかと思われます。それはひとえにケネス先生のユーモアのあるサービス精神といつもベストを尽くしてくださったお蔭でございます。
この教室の参加者はお仕事をしながらの世代が多かったので、なかなか毎回出席する都合がつかない人も少なからずいました。そこでお話くださった講義の内容を文字化して後日に配布することにしております。ケネス先生には、毎回その原稿を忙しい中で労を厭わずに校正・加筆していただけたことにも重ねて深謝申し上げます。その総まとめとしての果実が本書となりました。ケネス先生のお話の雰囲気をできるだけ残せるようにしながら編集・校正を試みました。皆様方とご一緒に、ケネス先生の求めた道を訪ねることのできたことを慶んでおります。
ケネス先生のあつい求道心を背景とした人柄と、日本人にはない視点とセンスからクリアに切り込んでくる新鮮な内容がふんだんに表現された、初心者でもよく理解できる講義となっております。人生を肯定する、明るく楽しい前向きな仏教を楽しみながら昧読いただければ幸いです。
令和2(2020)年 正 月 厳念寺 住職 菅原 建 九拝
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2600年の伝統を誇る仏教には、現代人も笑えるユーモアが多く含まれています。それは、日本の落語が仏教の説教を源流としていることにも見られます。また、禅宗の一休さんや浄土真宗の妙好人たちの発言をはじめ、ダライ・ラマ法王を含む現代の仏教徒に関する面白い出来事も多くあります。特にアメリカ仏教で発生した英語のユーモアが、仏教を学ぶ日本の皆様にどう映るかを知ることも大変楽しみです。 ユーモアとは、仏教が主張する執着やこだわりを離れることを促してくれると思います。笑うことで物事をより緩やかに捉えることができ、柔軟心を養ってくれるのではないでしょうか。 このような思いを懐いて、今年は「ユーモアを通して学ぶ仏教とその実践」という総合テーマで八回にわたる講座を実施いたしました。仏教に関する基本をユーモアを通して語ることができたと思います。その内容がこの本に収められましたので、どうか楽しく、時には笑いながら仏教の基本を学んでいただけることを願っています。 最後になりましたが、私の講演録を毎回読みやすい文章にしてくださった厳念寺住職・菅原建先生、及び毎月の講座で笑って励ましてくださった約八十名の受講生には敬意と感謝でいっぱいです。この本は正に縁起と絆の結晶なのです! 二〇一九(令和元)年 師 走 ケネス・田中